俺様とネコ女
金曜日。
定時上がりの秘書課にあわせて、19時に駅前の居酒屋で飲み会が始まった。
秘書課の課長以下独身5人と、1課の独身6人が今日のメンツだ。
「秘書課の5年ぶりの新人歓迎会ー!」
うおー!と雄たけびまで上げる山本主任。ほんとやめてくれ。
「赤澤、金曜楽しみだな」
「赤澤、なんだまだ水曜か」
「赤澤、なんならお前来なくていいぞ。うん。それがいい。そうしろ。そうしてくれ」
毎日毎日相手をさせられる俺の身にもなれ。
俺は、こことは少し離れた席だ。あいつは端の席に遠慮気味に座ってる。ウーロン茶を飲みながら、ニコニコと人当たりのいい笑顔で、1課の先輩の話に相槌をうってる。
猫かぶりキャラのあいつは、美人で、謙虚で、でもやんわりと笑顔で。仕事ぶりも真面目なようで、課内の評判も上々のようだ。
会社の男どもの熱狂ぶりもよく耳にする。