俺様とネコ女
「なにお前、なんか照れてんの?」

「全然」


冷たく鋭いその瞳に、全て見透かされている。


「猫かぶり女」

「自分だって笑顔安売りしすぎん?秘書課のお姉さまがたにデレデレしちゃって。会社でもさ、」

「は?誰が」

「営業1課の赤澤くん」


顔を覗きこんで笑ってやる。ニヤリ、勝ち誇った笑みを見せてやる。そう思ったのに。


「お前ダルいわ」

わたしの手からビールを取り上げ、あっという間にベッドに押し倒された。私の上に跨って、ニコリともしない無表情な顔。

突然のことに、呼吸を忘れて、コウに、コウの雰囲気に飲み込まれそうになる。

そして、 無言で見つめ返す私に、唇を重ねた。
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