Crown 【更新再開】

Side Yousuke

紫乃がいなくなったこの教室、誰も口を開かない
こんなに沈黙が嫌だと思ったことはない気がする

「なんか……ごめん」
事の発端は俺が紫乃を連れてきたことだよな


「んーん陽祐が悪いんじゃないよ」
春汰はそう言ってくれたがやっぱり肯定はできなかった



ガチャリ

ドアが開いた音に俺らは反応した
もしかしたらなんて期待を込めながら



「ふわあぁ…んだ?お前ら何辛気臭い顔してんだよ」
現れたのはチームの一人である、天倉棗だった

「ちぇー棗かよ。期待した俺がバカみたいじゃん」

「悪かったすね。俺で」

気付けば棗が来てくれてよかったって思う俺がいた…悔しいけど
空気が少し変わった感じがした


「そういえばさっき変な二年に会ったんだけど、すげー綺麗な顔しててさ」

うんうんとうなずきながら棗はそう告げた



「それは確実にフジだと思う」
だよな俺もそう思った

その返事に対して棗は珍しく動揺した


「おおおマジか!?藤咲紫乃なのか!やべぇカッケーなアイツ」
興奮しながら紫乃を褒める。うるさいぞ凌雅をみろよ
眉間に皺寄りまくってるぞ

「棗うるせぇ」
ほーら怒られた。ドンマイ棗
「わり凌雅、でも俺すげぇ興味あるんだよな」

へぇあの棗に興味をもたせるなんて…




やっぱり紫乃はすごいやつだよ
会う人みんなを魅了するんだもん

抱えてるものが何かは分からないけどいつか話してほしいな


そしていつか本当の姿を見せてな


Side Yousuke End






< 19 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop