Crown 【更新再開】
マンションを出て繁華街へ向かう
俺の他に歩いている人はいない
ただ、車がたまに通るぐらいで静かだ
パーカーのポケットから音楽プレイヤーを取り出し聴きはじめる
「くそ…歩くんじゃなかったな」
自宅から繁華街までは近いとは言えない
けれど今更戻るのも面倒だから仕方なく歩き続ける
ようやく繁華街に入った時には空は既に黒く染まっていた
周囲の明るさに思わず目を細める
昼間とは人の格好も態度も違う
真っ赤な口紅をした女は夜の相手を探しさ迷い歩く
路地裏に行けば誰かが喧嘩をして子をただ眺めるのが俺は好きだった
ゆっくりと周りの様子を眺めながら進んでいると、気づけば目的の場所に辿り着いていた
“Bar JOKER ”
カラン
店の扉を開けると鳴るこの音に懐かしさを覚える
「よう、ひさしぶりだな。アイツらもう奥にいるぞ」