秘めた恋
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静まり返った会議室に私と古橋くんだけが残った。
心が乱れていたとはいえ、さっき彼とキスをしてしまったから
気まずくて彼を見れない。
どうしたら・・・そう思っていると
「俺は本気だから。」と声が聞こえた。
「え?」思わず彼の方を見上げると
「さっき言ったこと、忘れたか?」と聞かれた。
「あ、えーと。」言葉に戸惑っていると
「今度こそ、もうお前を手放したりしない。後悔したんだ、あの時に。」と
彼が伏せ目がちに応えた。
「あの時?」
「高校の時、美優がイメチェンした時だ。俺だけの美優がみんなの美優になった気がして
正直嫌だった。」
「・・・・・」
「あの頃、メガネをかけた優等生の男が一人美優に積極的に話しかけてただろ。
なんか本で盛り上がってたみたいだけど、正直俺本とかよくわかんねーし(図書委員だったくせに)。あれ見て、美優もああいう真面目な優等生みたいな男が好きなんかなと思ったし。」
「あ・・・・」そういやいたな、そういう子と思った。
「高校卒業して弁護士を目指そうとした。」
「え!?そうなの!?」
「まぁ、挫折はして企業の法務部に就職したんだけどな。でも、結構勉強したんだぜ?
お前に相応しいというかお前の好きなタイプの男になるために・・・。
タバコだってお前が嫌いって知ったから止めたしな」
そう言うと彼が照れながら頭をかいた。
私は彼の話を聞きながら泣き出すと彼が慌てて「なんで、お前が泣くんだよ!」とつっこみを入れた。
「だって・・・」
「だって、同じだったから・・・」
「同じ?」
私は、涙を拭うと彼を見上げて言った。
「私も太樹くんに相応しい女になるため、太樹くんのタイプの女性になるために
ここまで頑張ってきたんだから!!」
「美優・・・」
そう言うと彼は私を熱く抱擁した。
「俺たち馬鹿だな、お互いを想いすぎてすれ違ってた。」
「うん・・・」
彼は抱擁を緩めると私の顔を見下ろした。
「もう、美優を絶対離さない。離すものか・・・。」
私も彼を見上げて応えた。
「うん、離さないで。ずっとそばにいて・・・」
そう言うと私たちは顔を近づけ唇を重ねた。
会議室の扉が少し開いていた。
美優に何かを伝えようとして戻ってきた杉並だったが
二人がキスをしているのを見てドアノブに触れようとしたその手を止めた。
「俺だって愛していたさ。ただ、美優がだんだん俺を見なくなったから・・・くそ・・・。
哀れだな、俺・・・」
そうつぶやくと踵を返し、その場を後にした。
静まり返った会議室に私と古橋くんだけが残った。
心が乱れていたとはいえ、さっき彼とキスをしてしまったから
気まずくて彼を見れない。
どうしたら・・・そう思っていると
「俺は本気だから。」と声が聞こえた。
「え?」思わず彼の方を見上げると
「さっき言ったこと、忘れたか?」と聞かれた。
「あ、えーと。」言葉に戸惑っていると
「今度こそ、もうお前を手放したりしない。後悔したんだ、あの時に。」と
彼が伏せ目がちに応えた。
「あの時?」
「高校の時、美優がイメチェンした時だ。俺だけの美優がみんなの美優になった気がして
正直嫌だった。」
「・・・・・」
「あの頃、メガネをかけた優等生の男が一人美優に積極的に話しかけてただろ。
なんか本で盛り上がってたみたいだけど、正直俺本とかよくわかんねーし(図書委員だったくせに)。あれ見て、美優もああいう真面目な優等生みたいな男が好きなんかなと思ったし。」
「あ・・・・」そういやいたな、そういう子と思った。
「高校卒業して弁護士を目指そうとした。」
「え!?そうなの!?」
「まぁ、挫折はして企業の法務部に就職したんだけどな。でも、結構勉強したんだぜ?
お前に相応しいというかお前の好きなタイプの男になるために・・・。
タバコだってお前が嫌いって知ったから止めたしな」
そう言うと彼が照れながら頭をかいた。
私は彼の話を聞きながら泣き出すと彼が慌てて「なんで、お前が泣くんだよ!」とつっこみを入れた。
「だって・・・」
「だって、同じだったから・・・」
「同じ?」
私は、涙を拭うと彼を見上げて言った。
「私も太樹くんに相応しい女になるため、太樹くんのタイプの女性になるために
ここまで頑張ってきたんだから!!」
「美優・・・」
そう言うと彼は私を熱く抱擁した。
「俺たち馬鹿だな、お互いを想いすぎてすれ違ってた。」
「うん・・・」
彼は抱擁を緩めると私の顔を見下ろした。
「もう、美優を絶対離さない。離すものか・・・。」
私も彼を見上げて応えた。
「うん、離さないで。ずっとそばにいて・・・」
そう言うと私たちは顔を近づけ唇を重ねた。
会議室の扉が少し開いていた。
美優に何かを伝えようとして戻ってきた杉並だったが
二人がキスをしているのを見てドアノブに触れようとしたその手を止めた。
「俺だって愛していたさ。ただ、美優がだんだん俺を見なくなったから・・・くそ・・・。
哀れだな、俺・・・」
そうつぶやくと踵を返し、その場を後にした。