秘めた恋
新入生歓迎会が始まり、宴は大いに盛り上がった。
というか、盛り上がってるのは噂の彼、東郷和馬の周りにいる女性陣だった。

「ねーねー和馬くん、彼女いないのー?」

「あ、はい。今はいません。」

「ねーどんな子がタイプ?」

「年上の大人の女性とか憧れますね。」と爽やかな笑顔で応えると

彼の年上の女性陣はキャーと黄色い声を出し、
彼と同じ学年の子達は「えーー」と悲しい声を上げた。

私は、遠くの方でその一部始終を見ていた。

「もう!そんな端っこで何やってるのよー!!」

理沙が呆れて私に声をかけてきた。

「ねね、一緒に彼のところに行かない?」

「行くわけないでしょ!!」

間髪入れずにそう言うと「じゃぁ、良いわよ。私一人だけで行くわ!
なんとしてもお近づきにならないと!」と気合を入れて行ってしまった。

はぁ・・・。
頬杖をしながら私は彼の方を見て

「チャラ男め」とつぶやいた。

すると彼がこっちの方に向いたので、目が合ってしまった。

げ・・・・。

遠いからまず聞こえてないとは思うが、さすがに気まずくなったので
苦笑いをすると

彼がニコッと笑い、会釈をしたように感じた。

「え?」

一瞬だったけどそれがあまりにも可愛くて
私は目が逸らせなかった。
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