秘めた恋

「特にあの子。後輩の水沢花音って子。彼女も和馬くんを狙ってるって聞いたから」

そう言われ、私が話しかけた時のあの子の嫌そうな顔を思い出した。

「どんな子なの？」

「計算高い子。男ウケはもちろん良いけどうちらにも愛想が良いから
憎めないのよね。」

「え？愛想が良い？」

「うん、この前なんて『理沙先輩のネイル超可愛い～』って褒めてくるから
憎めないじゃない？」

「小悪魔が。」

私は、ハッと笑うと理沙が不思議そうな顔で見てきたので
「先日彼女に睨まれたのよ。」とあの新入生歓迎会の時の話をした。

「へーそんなことが。」そう理沙が相槌を打ったあと、
「もしかしたら美雪のこと敵対視してるのかもね。」と付け加えた。

「とりあえずすごく計算高い子だから彼女のトラップにはまらないように気をつけてね。」と
また忠告された。

「あーめんどくさ。」

私はそうつぶやくとこの後、彼に会うのが少し億劫に感じた。