秘めた恋
近くにいるのに遠くに感じる。
年の差がそうさせてるのかな・・・、二人の中に入れない。

「お前さっさと女子会に戻れよ!」

「言われなくてもお二人の邪魔はしないわよ!」

もう、してるけど。

「ではでは、失礼いたします~。」と言って水沢さんは
嵐のように去っていった。

「すいません、なんか二人で話してしまって・・・。」

「ううん、楽しそうだったし別に大丈夫だよ。」

「別に楽しくなんかないですよ。美雪先輩と話している方が楽しいです。」

「・・・・・」

それにはどう応えていいか分からず黙ってしまった。
だって明らかにそっけない返答しか出来ない私といる時よりも
水沢さんといる時の方がテンション高かったし・・・・。

社交辞令かなと思っていると
彼はビールジョッキを一気に飲み干した。
これで3杯目。酔ってるんだな、と思った。

この気まずい空気を取り払うかのように「今日はもう帰ろうかな。」と言うと
「あ、マジっすか?送ります!」と彼が立ち上がった。

東郷くんはすぐカバンを持つと会計の方に向かったので
「え、いいよ!私、家遠いし!」と彼の背中に向かって言うと
「いえ、大丈夫っすよ。」と彼はカバンから財布を出すと
黒いカードを取り出し店員に渡した。

黒いクレジットカードを見たことなかったのでこんなのがあるんだ~と眺めていると
もう、会計が済んだのか「じゃぁ、行きましょう。」と言って
彼が出口の方に向かって歩き始めた。

「え、ちょっと待って!私も払うから!」
「大丈夫っすよ!今日来てくれたお礼です。」と言うと
彼ははにかんで笑った。


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