秘めた恋
すると彼は私の反応に腹を抱えて笑うと
「霧島さんでもそんな大声出すんだな。」とそんなことを
言ってきた。

「あ、すいません。」

「いや、別に良いんだけどさ。」

彼は思っていたほど、いやクールな人だと思っていたけど
そうではないみたいだった。

「俺が図書委員っていうのが珍しい?いや、係りの中でこれが一番
楽そうだなって思ったら、当番制で受付やるのを知らなかったから
こういうのが面倒だなって思ったよ。」

参った参った、彼はそう言うと先ほどの本を、はい、と言って渡してきた。

「あ、ありがとうございます。」

お辞儀をすると

「別にタメなんだから敬語はいいよ。」と言われ、

思わず彼を見上げた。

彼と目が合い、心臓がどくんと跳ねた。

彼も気まずそうに、あー・・・と声を上げると何をするか思い出したのか
「そうだ。返却された本を戻すんだった。」と脇に抱えていた本を
取り出した。

それは語学の本だった。

「こうゆう返却された本を戻すのが面倒だよな。」と彼がつぶやいたので
「あ、語学は向こうの棚です。」と言って指を指した。

「あ、あの左の棚を・・・」
と説明してると「面倒だから案内して。」と言って指差す私の腕を掴んで
彼が引っ張った。

え!?

彼が強引に奥の棚へと私を引っ張る。
突然の出来事にまた私の心臓は大きく跳ね上がった。

彼に触られたところがあつい・・・。
私はまた一瞬で頬を紅潮させた。

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