秘めた恋
「か・ず・ま・く~ん!!ここにいた~!」と
可愛くダッシュしてくる水沢さんが無理やりブレーキをかけたせいか
バランスを崩して彼の腕にしがみついた。

「もう、一緒にボール運び手伝ってよ~」と
可愛く頬を膨らます彼女。

「え~、なんで俺が。」と言いつつもそのまま彼女に
引っ張られていく彼。

振り向きざまに「あ、美雪先輩!それではまた!」と声をかけ
二人で行ってしまった。

なんだったのだろう。

どう見ても水沢さんの方が背が小さいのに
なんで私にあんなこと言ってきたのかしら。

「ふふふ、良い感じじゃなぁ~い。」といつの間にか着替えを終えた理沙が
私の背後から声をかけてきた。

「ちょっと何がよ!」

「物陰から見てたよ~。美雪と彼がイチャこいてると・こ・ろ」

「イチャこいてないし」

「美雪と彼だったら美男美女カップルだし、素敵だよ!もう付き合っちゃえば?」

「何言ってるのよ!」

感情が高ぶったせいかなぜか鼓動が早まり、息が切れる。

「なに、運動もしてないのに『はぁはぁ』言っちゃって。」

私は胸を抑えると「ごめん、ちょっとベンチに座って休憩してるわ。」と
理沙に伝え、ベンチに向かった。

東郷くんとのことでからかわれるとなぜかムキになって否定してしまう。
だけど内心は心臓がドクドクいって図星を突かれているような錯覚が起きる。

私、どうしちゃったの?
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