秘めた恋
彼の隣に腰掛け私は彼からスポーツドリンクを受け取ると
ごくごくと飲んだ。

彼はすごく喉が乾いていたのか一気に半分まで飲んでしまった。

「あーマジ疲れた。」

そう言って私の方を見てきた。

私は目が合って一瞬ドキッとするも
「お疲れ。」と労をねぎらって視線を前に戻すと

「美雪先輩、癒してくださいよ。」と彼が言ってきた。

「え!?」私は驚いて彼の方を向いた。

彼が真顔で私の方を見てきたので
「あ、あの、いや、癒すって何を?」と聞き返すと
「なんか年上の色気で俺を誘惑してください。」と
どこか懇願するように言ってきた。

シラフなのに何言ってるの、この子は~!と思いながら
「いや、マジでそんなの出来ないってば。」と私は否定した。

でも彼は引き下がらなかった。

「一回だけで良いっすから。お願いします。」と言ってきた。

「何を言って・・・・。」

非常に困った。こんなこと一度も言われたことなかったから。
でも・・・・。

一瞬、星野先輩の顔が頭の中をよぎって消えた。
だんだんと鼓動が早まる。私の中でもうひとりの私が
東郷くんに触れたいと言っている。

私は目をつむり、決心をすると「分かった。ただし一回だけね。
これが最初で最後だから。」と言って彼の方を向いた。
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