秘めた恋
私たちは行為を終えると和馬くんはベッドに腰掛け、タバコをふかし始めた。
彼が携帯を取り出し、画面確認すると少し青ざめた表情をした。
「どうしたの?」と尋ねると彼はなんでもないと言って
携帯を仕舞った。
何も話してくれない彼に少しショックではあったけど私は「そっか。」と言って
寝返りをすると
和馬くんは私の背中に向かって「すいません、美雪さん。明日早めに帰っても良いですか?」と
聞いてきた。
一瞬ズキンと心が激しく痛んだ。
「別にいいけどなんで?」
平常心を保ったままでそう尋ねると
彼は虚空を見ながら「親父の体調が悪いんです。」と応えた。
「え?」
「美雪さんには余計な心配かけたくなくて言わなかったんですけど
最近親父が胃がんを患って、入院中なんです。だから俺も
仕事を手伝ってて・・・。」
「そうだったの・・・。」
知らなかった。長い沈黙の後、彼の体が震え始め鼻を啜る音が聞こえた。
「俺、正直不安なんです。親父が亡くなったら俺が東郷社を引き継ぐのかとか
俺に出来るのかとか。俺、まだ18なのに背負うものが大きくて・・・。」
「すいません・・・。俺、こんな見苦しいところ美雪さんに見せたくなかったのに・・・。」
彼は手で涙を拭うと軽く咳払いをした。
私は起き上がるとそっと後ろから彼を抱きしめた。
「ちっとも見苦しくなんかない。だから私の前で格好つけなくて良いんだよ。
私は何も出来ないけど・・・和馬くんをそばで支えるから。ね?」
金持ちだから不自由しないとか、コネで就職できるとか彼のこと
そんな風に見てた自分を叱りたくなった。
私は彼の何を見ていたんだろう。
礼儀正しく、人を気遣う彼の態度はまぎれもなく
今までの彼の生活の中で培ってきたものだ。
彼はずっと虚勢を張って格好つけてただけだった。
けど本当は・・・・・。
彼を愛おしいと思った。彼を心から守りたいと思った。
好きだよ、和馬くん。そう心の中でつぶやくと
「明日早く帰ろう。」そう優しく彼に言った。
彼が携帯を取り出し、画面確認すると少し青ざめた表情をした。
「どうしたの?」と尋ねると彼はなんでもないと言って
携帯を仕舞った。
何も話してくれない彼に少しショックではあったけど私は「そっか。」と言って
寝返りをすると
和馬くんは私の背中に向かって「すいません、美雪さん。明日早めに帰っても良いですか?」と
聞いてきた。
一瞬ズキンと心が激しく痛んだ。
「別にいいけどなんで?」
平常心を保ったままでそう尋ねると
彼は虚空を見ながら「親父の体調が悪いんです。」と応えた。
「え?」
「美雪さんには余計な心配かけたくなくて言わなかったんですけど
最近親父が胃がんを患って、入院中なんです。だから俺も
仕事を手伝ってて・・・。」
「そうだったの・・・。」
知らなかった。長い沈黙の後、彼の体が震え始め鼻を啜る音が聞こえた。
「俺、正直不安なんです。親父が亡くなったら俺が東郷社を引き継ぐのかとか
俺に出来るのかとか。俺、まだ18なのに背負うものが大きくて・・・。」
「すいません・・・。俺、こんな見苦しいところ美雪さんに見せたくなかったのに・・・。」
彼は手で涙を拭うと軽く咳払いをした。
私は起き上がるとそっと後ろから彼を抱きしめた。
「ちっとも見苦しくなんかない。だから私の前で格好つけなくて良いんだよ。
私は何も出来ないけど・・・和馬くんをそばで支えるから。ね?」
金持ちだから不自由しないとか、コネで就職できるとか彼のこと
そんな風に見てた自分を叱りたくなった。
私は彼の何を見ていたんだろう。
礼儀正しく、人を気遣う彼の態度はまぎれもなく
今までの彼の生活の中で培ってきたものだ。
彼はずっと虚勢を張って格好つけてただけだった。
けど本当は・・・・・。
彼を愛おしいと思った。彼を心から守りたいと思った。
好きだよ、和馬くん。そう心の中でつぶやくと
「明日早く帰ろう。」そう優しく彼に言った。