秘めた恋

WANNA

それからお父さんの容態も聞けないままサークル合宿を迎えた。

川辺でバーベキューをすることになり、一年生女子達が買い出しに出かけた。
男性陣は皆釣具を持って競い合うように釣りを始めた。

理沙と私はなにもすることがなく釣りをしながら騒いでいる男子を見ながら
笑っていた。

「男ってなんで、あーも単純なのかしら。でかい魚を釣ったら
女子の人気が上がるとでも思ってるのかしらね」

「低レベルね。」

でも、そのはしゃいでる中に彼の姿が見えないためどこに行ったか気になっていると
そわそわしてる私に気づいたのか私の反応を見て理沙が笑いだした。

「ちょっと、違うわよ。」

「なによ～、何も言ってないけど？それよりあなたたちどこまで進んだの？」

そう聞かれて私は彼と海に行ったときのことを話した。

「へぇ、そうだったのねー。相変わらずラブラブねぇ」

「まぁね。」

「でも、美雪の恋愛ってドラマみたいよね。」

「え？なにが？」

「金持ちで格好良い年下の彼と恋愛中なんてまさしくドラマみたい。」

「そうね、そう言われると本当に不安になる。なんか夢でも見てるのかなぁ～って。」

そう言ってため息つくと

「何言ってるのよ！現実よ！ほら！」と言って理沙が顔をつねってきた。

「ちょっと、痛っ！！」私も反撃して彼女を軽く叩いた。

「不安になることなんてないじゃない！美雪と超お似合いだよ！」

「でも、さっき彼が一年の女子に優しくしてるとこ見るとやっぱ同級生が好きなのかな～とか
思ったり。」

「馬鹿ね、その子が怪我したから絆創膏貼ってただけでしょ！考えすぎだって。
でも、やっぱモテる男が彼氏って辛いわね。」と言われ

「でしょー！」と身を乗り出して同調すると

「だから彼が浮気しないように大人の女の魅力を磨きなさいよ」と
理沙に気持ち悪い顔で言われて思わず

「えー。」と呆れながら言った。