秘めた恋
彼と距離を置くようになって、最初は彼から「急にどうしたんですか。」とか
「返事ください。」とかメールが届いていたけど
ある日を境に急に音信不通となった。

「花音ちゃんの話ってなんだったの?」

「え?」

「ほら合宿中に美雪だけ部屋の風呂を使ってた時よ。」と理沙が言うと
私は、あぁあと間延びした返事をして「和馬くんが他にも女がいたっていう話。」と応えた。

「あぁ、あれね。ちょっとひどいというかショックよね。」と理沙が言うので
「知ってるの?」と聞くと「花音ちゃんから聞いたのよ。一年の間では結構噂になってるんでしょ?」と
言ってきた。

移動教室の時、たまたま廊下で水沢さんと鉢合わせした。

彼女は軽く会釈をして私に近づくと「実は和馬くんが他にも女がいるって話を美雪先輩にもしたって
彼に言ったんですよ。」と言ってきた。

「え?彼、なんて?」

「あぁ。少しショックは受けてましたけどまぁ、俺が悪いからとか言ってたので身を引くっぽいですよ。」

「そう・・・。」

「ごめんなさいね。こんなつもりじゃなかったんですけど。」

「良いのよ、逆に教えてくれてありがとう。」

そう言うと私は彼女に背を向けて教室に向かった。


クリスマスも彼に会うことはなかった。
もちろん私が大学を卒業した後も・・・。

それでもどこかで彼のことが諦めず
気づいたら彼好みの大人の女性になろうと自分を磨いていた。



そして、OLになって月日が経ったある日、
偶然彼と再会をした。
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