秘めた恋
すると彼女はあくまでも冷静に「キ、キスとかまではしましたから。」と
言ってきた。

え?

キ、キス?したの?この子と?和馬くんが・・・・?

私はあまりのショックで言葉が出なかった。
彼がプレイボーイだとは知っていたけどこんな子供っぽい子にも
手を出しているなんてショックだった。

私は和馬くんのことしか想ってないのに
彼は私のことを忘れて他の女と楽しんでるなんて・・・。
胸の奥がズキズキと痛み出した。

「へ、へぇー。なぁんだ。ただの会社の仲間なんて嘘じゃない。
最初っからそう言えば良いでしょ?」
だからそうやって強がって言うことが精一杯だった。

その言葉に腹が立ったのか彼女はいきなり
「それに美雪さん、金目当てで東郷さんに近づいたんでしょ!」と言ってきた。

「え?」

「なにそれ?」

何を言われたのか理解できずにいると彼女は続けざまに

「だから、東郷さんに聞いたんですよ。彼が金持ちだから美雪さんが近づいてきたって。
彼は本気であなたのこと好きだったんですよ!なのに、なによ、金目当てって。
彼が女とか愛とか信じられなくなったのはあなたのせいじゃない!!」

と怒鳴り声を上げて言った。

なにが、なんだか分からなかった。

金目当て?

私は一度だって彼をそんな目で見たことはない。

そんな理由で彼に近づいてもいないのに、

何を言ってるのこの子は?

「ちょ、ちょっとそれ。どうゆう意味よ。私が何?金目当てですって?」

「反省しないんですか?彼は深く傷ついたんですよ?」

すると彼女が席を立とうとしたので私は彼女の腕にしがみついた。

「ちょっと待ってよ!ちゃんと説明しなさいよ!どうゆうこと!?」

「ちょっ、痛い・・・。」

もう、混乱して何がなんだか、わからなかった。

そう彼女にちゃんと説明してもらおうと思い迫ったら
突然「おい、やめろよ。」と低い声がして私の手が彼女の腕から外されてしまった。
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