秘めた恋
彼女は一歩私に近づくと私を見上げ睨むように言ってきた。

「私が嘘を言わなかったら別れなかった？違いますよ、私が言わなくてもあなたたちは別れた。
きっかけはなんだって良いんです。二人の信頼関係が甘いから絶対いつかは別れた。」

「あなたさっきから何を言って・・・。こんなことしといて、なんで謝らないのよ！？」

「謝る？私が悪いとでも？美雪先輩のそのプライドの高さが、彼がモテるからという不安要素が
美雪先輩を心の中で支配して彼を信じきれなかった、だから別れた。ただそれだけのことでしょう。」

「は！？自分のことは棚に上げて何を言い出すの！？」

「美雪先輩は和馬くんのことが好きで好きすぎて。だから彼が格好良くてモテるから疑ったんですよ。
他にも女がいるんじゃないかって。自分から彼を疑ったから別れたんでしょ？その年上としてのプライドの高さが仇となりましたね。」

私は言い返す言葉が思いつかなかった。

「彼も同じですよ。美雪先輩は和馬くんが東郷社の御曹司と知って金目当てで近づいたと言ったら
信じたんですよ。しかも、美雪先輩は年上で余裕のある大人の男性しか興味ないって言ったら彼ショック受けちゃって。もう傑作ですよね。二人とも全然お互いを信用してないし、バカなんですから」と
彼女はケラケラと楽しそうに笑った。

私は涙を流しながら彼女を睨んだ。

「悔しいですか？和馬くん今、別の女性と付き合ってるみたいですね。でも、彼女に持ってて美雪先輩にないものをご存知ですか？信じる心ですよ。多分、彼女は和馬くんの全てを信じて受け入れる覚悟なんでしょうね。」

「なんですって？」

「ご自分で確かめてみたらどうですか？じゃ、私忙しいのでこれで失礼します」
そう言うと水沢花音はその場を後にした。


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