秘めた恋
「ところで、あなた誰ですか?」

訝むようにそっけなく聞くと

「え?俺を知らない?」と言ってきた。

なに、この人・・・。少し失笑すると

「知るわけないでしょ!先日入ってきたばかりなので」

「え?そうなんだ。どこの会社?」

そう聞かれ、会社名を応えると

「一緒じゃん。なんで俺を知らないんだよ。」と
なぜか冗談っぽくも呆れたように言われたので、すかさず

「だから、まだ入りたてだから」と応えた。

馴れ馴れしい、何このチャラ男。
確かに顔はイケメン。金も持ってそうだし、女にも不自由してなさそう。
だけど、見下されてるようでなんか癪に障る。

「営業の方ですか? さっきから暑そうにしてますけど」

「え?」

彼は、少し思案顔になると「あ~、そうそう。さっきお得意先に行って来たんだけど
あの客は態度がでかいから腹が立ってなー。思わず嫌味言って戻ってきた。」

「何してんですか!?」

「腹の虫が治まらないから、とりあえず都内をドライブしてから
こっちにきた。」

「仕事中に何してるんですか!?あなた正気ですか!?」

そう驚きながらも彼を諌めると
彼は愉快そうにクックッと笑いながら

「あーお前面白いな。」と言ってきた。

「名前は?」

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