秘めた恋
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堂々と副社長室へと続く廊下を歩いて行く。

後ろから彼が付いて来るのが気配で分かった。

昔は、猫背気味になりながら彼の後ろ姿を余所余所しく
追いかけていた・・・。

でも、今の私は違う。

この状態が今の私たちの現状を物語っていた。

突き当たりの角を左に曲がると奥に副社長室がある扉が見え、
その手前側で大人しく受付嬢が座っている。

副社長の趣味なのか分からないが受付嬢の女性達は
妖艶な女の色気がある人が多かった。

私は角の手前でくるっと後ろを向くと古橋君と向き合った。

彼が一瞬驚いた表情を見せた。
まさか、急に振り返るとは思っていなかったからかもしれない。

「ここを曲がると副社長室よ。それじゃ、案内はここまでね。」

そう言って彼の横を通り過ぎようとしたとき
彼がぼそっとつぶやいた気がした。

「え?」

振り返ったけど気づいたらもう彼は角を曲がりいなくなっていた。

あれはどういう意味だったのか・・・。

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