秘めた恋
すると突然、賢斗の顔が近づき
私は唇を奪われた・・・・。

「ん・・・」

呼ぶ声は優しかったのに、
キスは少し荒々しく私を欲しがるように
がむしゃらに熱く繰り返した。


「ちょっと、ここ会社だから、やめ・・・」

それでも止めない彼。急にどうしたの・・・?

彼が唇を離した。

呼吸を荒げながら彼を見上げると彼はどこか切なそうな
瞳を潤ませた子犬のように見えた。

「どうしたの?急に・・・」

そう言うと彼は私をきつく抱きしめ

「なんとなく。ただ、誰にも奪われたくない。そう思っただけ。」と

そう言った。

ふっ・・・と私は笑うと

「何言ってるの。私が賢斗以外の人を好きになるわけないでしょー。」と

彼をからかうように安心させるように言った。



でも、あの時一瞬ドキッとした。

いや、あの瞬間ビクッとした。

賢斗が私の名前を優しく呼んだのに

まるであの頃の古橋君が私を呼んだのだと同じに思えたから・・・。
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