秘めた恋
「何?玉の輿になりたいって?」

からかい混じりに言われ

「そりゃ、女子の憧れじゃないですかー!」と

素直に応えた。

「へー・・・」

彼が一瞬つまんなそうに応えると

「まぁ、森さんは相手にされないだろうな。」と笑いながら言われた。

「はい、もちろんそうでしょうね。」でも私は素直に肯定した。

「え?」

少しきょとんとする彼に向かって私は笑顔を向けると
「そんな素敵な人が私を相手にするわけないじゃないですか。
きっと色気のある美人の女性を選びますよ。
だからそんな手の届かない存在の人、本気で狙わないです。
でも憧れるくらいなら良いじゃないですか。」と言った。

「・・・・・」

「それに私、他に好きな人いるし。もともと恋愛対象として見てないですよ。」

少しはにかみながらそう言うと
彼はふっと笑って「なるほどね。」と応えた。

すると突然ふわっと頭の上に重みを感じたと思ったら
オオハシさんが私の頭をやさしく撫で始めた。

「え!?」

突然の出来事に今度は私がきょとんとしてると

「一途で良いんじゃないか。応援するよ。」と笑顔で言われた。

わぁお。

目が細くなりまるで子供のように無邪気な笑顔だった。
古橋さんもそうだけど男の人って笑うと可愛いんだなぁと率直に思った。

恍惚とした目でオオハシさんを見ていたためか彼は「ん?」と一瞬首をかしげると
顔を近づけ「そんなぽけーっとしてたら唇奪っちゃうぞ。」と
目の前で言われた。


「い、いやーーーーーー!!」

と叫ぶと私は彼を突き飛ばし、彼の肩を何度も叩いた。
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