秘めた恋
眠っている私を見て彼は少し間を置くと
「霧島さん?」と言ってきた。

それでも私はたぬき寝入りを続けた。

彼はそばにあった椅子を引き寄せ、それに腰をかけると
「霧島さんの鞄を持ってきたんだ。」と言ってきた。

「体調大丈夫?」

正直こんなに話しかけられて寝続けられる人はいるのだろうか。
だけど起きるタイミングが分からない。
だから勉強で睡眠不足だからちょっとやそっとで起きない女を
演じてみた。

すると少しベッドに重みを感じたと思ったら
くちびるに彼のぬくもりを感じた。

へ!?

しかもディープキス!さすがにちょっとこれは起きるしかないでしょ!
ってか、起きるわ、ふつう!

びっくりして目を見開くと「起きた?」といたずらっこのような顔で
言ってきた。

目をぱちくりさせ、「あのー・・・・。」と言うと
「霧島さんの寝顔が可愛いからつい・・・。」と照れたように彼が応えた。

つい・・・じゃない!!!

私は上半身を起こすと俯きながら「こういうのやめてよ。」と言った。

「なんで?俺のことが嫌いだから?」

彼の質問に思わず首を振ってしまった。
なんで、正直に反応してしまったんだろう。嫌いって言えばもう彼は私をからかわない。
これで私たちの関係を終らせられるのに・・・・

「じゃぁ、なんで?」

彼の問いに私は震える声で応えた。

「古橋君のこと本気になりそうで怖い・・・。からかってるだけなら
やめてほしい。お願いだから・・・・」

私は両手でふとんをぎゅっと掴み、目を閉じた。
< 36 / 175 >

この作品をシェア

pagetop