秘めた恋
すると彼は「俺、初めから本気なんだけど。」と言ってきた。

「え!?」

私は驚いて顔を上げると真剣な顔した彼が
「こんなこと、冗談でしない。」と言ってきた。

え、本当に?

そう思うが声が出ない。

「俺、本当に霧島さんが好きだよ。いっつも一人でいるから根暗な子かと思ったけど
ふつうにウブな反応とか可愛いし、顔もメガネ外すと可愛いし、好きだよ。」

「へ!?」

混乱して固まっていると彼はクスッと笑い、顔を近づけてきた。

至近距離のまま見つめられて思わず目をそらした。

「だから本気になって良いよ。俺と本気で付き合おう。」

目線だけ彼に向けると彼は、少しはにかんで私を見つめ返した。

「うん、私で良ければ。」

私は嬉しくて一筋の涙を流した。

彼も嬉しそうにやったーと言って両手を挙げるとその手で私を囲み強く抱擁した。

彼の心臓もドクドクと早鐘を打ち、私以上に体温が熱かった。

きっと彼も緊張していたんだね、嬉しい・・・・。

私も広い彼の背中に腕を回し、彼の胸に顔をうずめた。


こんなことってあるんだ。こんな素敵な人と憧れだった人と
恋人になれるなんて。

きっとこれが最初で最後の恋、そう信じていた。
この時までは
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