秘めた恋
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それは、デザイン画を考えている時に起きた。

ズキン・・・と右のこめかみ辺りに痛みを感じた。

「痛・・・・」

私は、その箇所を指で押さえながら持っていたペンを無造作に置き、
目をつむった。

「だ、大丈夫ですか?」

たまたま通りかかった女性社員が声をかけてきた。

「え、ええ。」私は、視線だけ彼女に向けて心配かけないよう
軽く微笑んで応えたが、やはりまたズキンときて思いっきり目をつむった。

「今なら休憩室に誰もいませんので高梨さん、少しお休みされた方が良いですよ。」

「えぇ、そうするわ。」

私は、デザイン画をスケッチしたノートとペンを抱えると
休憩室に入った。

そして、椅子に腰掛け、両手でこめかみを押さえると目をつむった。
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