秘めた恋
はぁ・・・と深くため息をつくと
机上に置いたデザイン画を見下ろした。

最近、遅くまで仕事をしていたせいかもしれない。
アラサーアラフォーの女性に向けた高級感のある小物、事務用品に絞られ、
デザイン画の製作に没頭した。
でも、リミットや期待が迫るほど、プレッシャーが圧し掛かった。
どういったデザインだったら大人の女性は喜ぶのか・・・

すると女性社員が話していたある噂を思い出した。

「古橋さんって喫煙をしないから休憩室でたまに仮眠を取ってるらしいのよー」

私は、ハッとして心の中でバカとつぶやいた。

なんでこんなときに古橋君のことなんか思い出すんだろう。

彼が仮眠する場所がここなら、彼が来るかもしれない。


絶対来ないで欲しい。
こんなところで二人っきりになりたくない。
絶対来ないで・・・・。


そう思っててもどこかで心の奥底で
彼が来てくれたら面白いのにとか思ってる自分がいる。

面白い・・・・?
それはどういう意味なんだろう。
私と彼が二人っきりになったら、気まずい雰囲気が流れるはずなのに
もしかしたら会話が弾むかもしれない。
そして二人の思い出話が始まってまた復縁するかもしれない。
そう馬鹿馬鹿しい展開になったら面白いなんて妄想してる。

本当にバカみたい・・・
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