秘めた恋
来ないで・・・でも会いたい・・・。
そんな矛盾した気持ちがいりまじり、
ふと高校時代の保健室での出来事を
思い出した。


そんな時だった。
ノックが聞こえたと思ったら誰かが入ってきた。
私は、緊張した面持ちで頭を垂れながら静かにしていると
その人は一瞬躊躇しながらも入ってきた。

「お疲れ様です。」
渋くて低い声がして、私は誰だか分かりハッとした。

「お疲れ。」
私も軽く頭を上げ、古橋君の方を見ると「休憩?」と尋ねた。

「はい、10分だけ仮眠を。高梨さんは?」

「私は頭痛がするので痛みが止むまで休憩を。」

「そうですか。お大事に。」

彼はそうそっけなく応えると椅子に腰をかけ、両腕を組み顔を前に向いた状態で目をつむった。

私は、目を瞑った彼の顔をじっと見つめて、涙腺が潤んだ。

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