秘めた恋
ガタン・・・。

そう音がして、その方に視線を向けると
浅利さんが彼に顔を近づけ、キスをしようとしていた。

「え、ちょ!」

思わず声を出すと、彼が急に目を覚ましたのか
「何?」と言って彼が浅利さんに聞いてきた。

彼女は、あ、と小さく言うと椅子に腰掛け、
「えへ。」と笑ってごまかしていた。

「人が寝ているときに何かされるの腹立つんだよな。」
そう彼が不機嫌に言ったセリフに私の胃がきゅっと縮まった。

一瞬、私に言っているような気がしたからだ。

「ごめ~ん。」彼女がおどけて笑うと
彼は呆れながら、彼女を一瞥したかと思ったら私の方を見てきた。

その一部始終を目の当たりにした私は完全にフリーズし、
彼と目が合っても声が出なかった。

だけど、彼は何を思ったのか浅利さんの方を向くと
「残念だったな。もう少し寝てれば出来たのに。」とからかうように
彼女に言った。

浅利さんはその言葉が嬉しかったのか急に表情がパッと明るくなり
頬を赤らめた。

「じゃぁ、今度二人っきりでデートしましょうよ!」

調子に乗った彼女が彼の腕に掴み、そんなことを言った。

「あぁ、いいね。」

彼も口角を上げて彼女に向って言った。

状況が一変した。
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