秘めた恋
「あのー・・・」

すると今度は彼女が遠慮がちに私に声をかけてきたので
ん?と応えると

「高梨さんでも恋愛でうまくいかなかったことってありますか?」

と突拍子もないことを聞いてきた。

「え!?」

“高梨さんでも”という言い方が裏を返せばまるで
“高梨さんは恋愛でうまくいきそうなのに”という
ニュアンスを交えているようにも聞こえて
私はどうゆう人間に思われているのだろうと思った。

「あるわよ、一回だけ」

右下に目を逸らしながらそう応えると

「え!?そうなんですか!?」と彼女が聞き返してきた。

「どうしてですか!?」

興味津々の彼女の態度とは裏腹に私は、苦い経験を思い出しながら
暗い声で正直に応えた。

「高校の時にすごく好きだった人がいたんだけど
その彼は私のことが好きとか言いながら結局は私とは性格も人格も真逆の
女性に乗り換えたの。」

「えええええええええええ!?」




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