秘めた恋
「森さん、声大きい」

「す、すいません。あまりにも衝撃的だったので・・・」

彼女は大きい声を出してしまったことというよりも
知ってはいけない他人の痛い過去を知ってしまったことで
謝ってる気がした。

「じゃ、じゃぁ、その男性は地味で大人しい女性に
乗り換えたってことなんですね!」

「は?」

彼女が言った言葉に理解が出来なかった。
なんでそうなるの?

「どういう・・・意味?」と訝しげに彼女に尋ねると
思いもよらぬ答えが返ってきた。

「だって、高梨さんのような綺麗で素敵で
みんなに人気のある女性と真逆の人格って言ったら
そうなるじゃないですか!」

あぁ、そうか。

私は今の私がどんな人格だったかを忘れていた。
そうだった、私はあの頃の私とは違っていた。

「全然。その女性もみんなから人気があって綺麗な女性だったのよ。」

「え!?そうなんですか?」

そうだった。だから、私は彼女に嫉妬もしたし、憧れた。
あぁ、そうか。大樹君はああゆう女性が好きだったのか。

だから、私もああゆう女性になりたくて頑張ったのに。
あの子のように綺麗でみんなに素敵だって思われる女性になったのに。

なんで古橋君は私のことを好きになってくれないんだろう。

なんで振り向いてくれないんだろう。

私、こんなに変わったのに。

もう一度好きになって欲しくて変わったのに。

なんで・・・・・?
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