秘めた恋
私は事務所に戻り自席に着くと暗い気持ちを隠すように
引き出しの中にあるデッザンノートを取り出し、ペンを持って
考え込む振りをした。
「高梨さんは本当に真面目ですね。でも
煮詰めすぎると返って良くないですよ。」と言って
一人の女性社員が私に近づき、透明のティーカップを
テーブルの上にそっと置いた。
私は何気なくそのティーカップを見ると
カップの中で花が開いていたため「ちょ、ちょっと」と
その女性に声をかけた。
きょとんとしたその女性に「ねぇ、これ何?
ティーカップの中に花が入ってるんだけど・・・」と
尋ねると彼女は、くすっと笑い「ジャスミン茶です。」と応えた。
「ジャスミン茶?」
「はい、先日台湾に行った時に買ったのです。
丸く括られたお茶の玉をカップに入れて、
お湯を注ぐと中でジャスミンの花が咲くんです。
綺麗ですよね。」
「えぇ、そうね」
カップの中にある花をじっと見つめていると突然
「ホァ」と女性社員が言った。
「え!?」
な、なに!?とびっくりしていると
「それの中国読みです。」と言われた。
「huaと書いて『ホァ』と読むんです。漢字は『花』と書くんですが
それで『ジャスミン』という意味だそうです。」
「へぇ・・・。」
では、とその女性社員は会釈をすると自席に戻っていた。
huaか・・・。
なんて可愛くてすぐ空気に溶け込んで消えてしまうような
儚い音なんだろう。
私は、暫くその発音を繰り返してるとあることをひらめいた。
引き出しの中にあるデッザンノートを取り出し、ペンを持って
考え込む振りをした。
「高梨さんは本当に真面目ですね。でも
煮詰めすぎると返って良くないですよ。」と言って
一人の女性社員が私に近づき、透明のティーカップを
テーブルの上にそっと置いた。
私は何気なくそのティーカップを見ると
カップの中で花が開いていたため「ちょ、ちょっと」と
その女性に声をかけた。
きょとんとしたその女性に「ねぇ、これ何?
ティーカップの中に花が入ってるんだけど・・・」と
尋ねると彼女は、くすっと笑い「ジャスミン茶です。」と応えた。
「ジャスミン茶?」
「はい、先日台湾に行った時に買ったのです。
丸く括られたお茶の玉をカップに入れて、
お湯を注ぐと中でジャスミンの花が咲くんです。
綺麗ですよね。」
「えぇ、そうね」
カップの中にある花をじっと見つめていると突然
「ホァ」と女性社員が言った。
「え!?」
な、なに!?とびっくりしていると
「それの中国読みです。」と言われた。
「huaと書いて『ホァ』と読むんです。漢字は『花』と書くんですが
それで『ジャスミン』という意味だそうです。」
「へぇ・・・。」
では、とその女性社員は会釈をすると自席に戻っていた。
huaか・・・。
なんて可愛くてすぐ空気に溶け込んで消えてしまうような
儚い音なんだろう。
私は、暫くその発音を繰り返してるとあることをひらめいた。