秘めた恋
「お、美優じゃん。どうした?タバコを吸いに来たのか?んなわけねーか。
俺に会いに来たんだろう。」

彼はにやにやしながら言ってきた。

「うん、そうよ。」と言うと嬉しそうにそっかと笑った。
その彼の素直さが私は好きだ。

「あ、あのさー実は」そう言ってデザイン画が描かれたノートを開こうとした瞬間、
彼に腕をつかまれ引き寄せられると彼に抱き寄せられた。

「ちょ、賢斗・・・」

「美優、好きだよ。」

そう言うと彼は私のあごをくいっと持ち上げキスをしようとした。

タバコのにおい、くさい・・・・

私は顔を背けると彼は不機嫌になり、私から離れた。

喫煙所に誰もいないのを確認してホッと胸をなでおろすと
「なんで急に・・・」と言おうとした瞬間、「美優、この前の昼休憩中何してた?」と
突然彼に聞かれた。

「え?」
話が飛躍しすぎてきょとんとしてると
「古橋と一緒にいただろ。」と呆れるように言ってきた。

まさか、あの時の目にごみが入ってよろけて古橋君に支えられた一部始終を見られていたのか。
でも、それだったら彼がここまで不愉快にならない。多分支えられてたところだけ見たのだろう。
と思った。

「あ、それなんだけどね」

彼は、ふっと笑うと「一人で散歩したいっていうから一緒に食事にするのを諦めたのに
隠れてあいつと会っていたとはね。」と遠目で自嘲気味に言ってきた。

「だから、違うって。」

「美優きれいだもんな。モテたいんだろ、お前。

「何、言ってんの?」

「一人の男じゃ満足しないんだろ?」

「だから、何を言って・・・・・」

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