秘めた恋
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「おい、聞いてるのか?」

「へっ!?」

はっとして、思わず素っ頓狂な声を出した。
すぐさま目の前に座る杉並 賢斗の顔を見る。

「箸が止まってる・・・。」

彼の指摘に、あぁ、ごめんとつぶやいて
「で、なんだったっけ?」と、テヘっと言って
ごまかしでもするように明るい笑顔を向けた。

「俺たちの結婚についてだよ。親に報告いつするかって話。」

あぁあ、と間延びした返事をした後「でも・・・。」と言おうとすると
「また、美優のとこの家庭の事情か。」と彼が呆れるように応えた。

「ごめん。」

「気にすることはないと思うけどなぁ。もう、昔のことだろ?うちの親父も
あんま気にしないと思うけど。」と軽く言ってラーメンを啜った。

そんなこと彼の両親に言えるわけがない。反対される。
目に見えている、だから進めないでいるのにどうしてこうも適当なのだろう。

本当に彼の両親が許してくれると思っているのか、それとも
私と別れることになっても別に彼はなんとも思わないのか、
どっちかというと後者に思えてならない。



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