秘めた恋
すると携帯に一通のメールが入った。

大樹君からで「話がある。放課後教室で。」とあった。

私は直感した。

誰もいなくなった教室に向かうと彼はすでに
自分の机の上に座り、窓の方を見ていた。
彼の背中に向かって「大樹君」と言うと彼は振り返り、
机から降りて私を見下ろした。

私は目を合わせずづらくて「話って?」と目をそらせながら
尋ねると「俺たち、別れよう。」と言われた。

私はゆっくりと彼の方を見上げた。

「じゃぁ、私たちは終わりね」

誰もいない静まりかえった教室で
私は、背の高い彼を睨みながら試すように応えた。

強がってはいても若干声は上擦っていた。

彼は、何も応えない。
ただ私を見つめるだけで否定することも肯定することもなかった。

私は、耐え切れずその場を後にした。

誰もいない渡り廊下を早足で通り過ぎた。
涙を流しても嗚咽交じりに泣いても彼は追いかけてこなかった。


『ねぇ、私たちは終わりなの・・・・?』

『これで、本当に終わりなの・・・?』

返答のない質問を頭の中で繰り返しながらこの日、
私たちは終わりを迎えた。






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