秘めた恋
夕方、駅に向かって歩いているとオフィスビルの前、
テラス席でディナーを楽しんでいる人たちが目に入った。
女子会をしてる人たち、デートを楽しんでいる恋人、
ノートパソコンを開いて仕事をするビジネスマン。

すると目の前を綺麗な女性と格好いいスーツ姿の男性が
通り過ぎた。

「ごめん、強引に引っ張って来てしまって。
でもそのbarに早く橋本さんを連れて行きたくて」

「いいえ、大丈夫よ。・・・行きましょう」

彼女はそう応えると名残惜しそうにテラス席の方を振り返ると
諦めたように踵を返し彼の後ろに付いていった。

彼女の持つオレンジ色のバッグを見て私はため息をついた。
「あれ、確か100万もするやつ。羨ましい・・・」
自分で買ったのか、はたまた買ってもらったのか、
どう見ても後者に思えるのは僻みなのだろうかと思っていると
今度は見たことある女性とすれ違った。

向こうも私だと気づいたのか
「もしかして霧島さん!?」と声をかけられた。

後ろを振り返るとそこにいたのは
変わり果てた様子の小野花蓮だった。
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