秘めた恋
無表情のオオハシさんの横顔をしばし眺めていると
彼の目が微妙に開いたので私は何かと思い、すぐさま窓の外に目を向けた。

すると彼女の近くにスーツ姿の男性が立っており、
何かを話しているようだった。
その男性もなかなかの男前で、絵になる二人だった。

私は恐る恐るオオハシさんの方に視線だけ向けた。

ズキン・・・・・・

彼の切ない横顔に耐えきれず
私はまた視線を窓の外に向けた。

二人が行ってしまう。

すると彼女が視線に気づいたのかこっちを
振り向いた。

「ま、そのうちこの件は明るみになるだろう。」

「へ!?」

何事もなかったかのようにオオハシさんが私の方を見て
声をかけてきたので思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

彼は店員を呼ぶとコーヒーを注文した。

オオハシさん・・・。

また、窓の外を見たけど二人の姿はどこにもなく
オオハシさんも窓の外を見て確認することはなかった。

「ま、古橋より良い男はいるからそんなショックを受けるな。」

「え?」

オオハシさんと目が合うとすぐに視線をそらし、そうですね、と応えた。

一瞬、古橋さんのことを忘れ
オオハシさんのことを考えている自分がいてびっくりした。

私は手で胸を抑えた。
少し鼓動が早くなってるのを感じる。

なんなんだろう。

私、どうしちゃったんだろう。


さっきの胸の痛みも一体なんだったのだろう・・・。
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