君は囁く~涙とともに~

「チャイムが鳴るまで席を立つなよー」

そう豊田先生が言う。
でもそんなことは全員無視。
退屈なホームルームが終わった今、みんなやっと開放されたとでも言うように次々と席を立つ。
もちろん、俺もその一人。

俺が向かうのは大翔の席。
正しくは、俺達が、だ。
残りの三人も大翔の席に来る。
ここが集合場所って感じ。

大翔の席は廊下側の真ん中。
右側にある窓から廊下の様子がよく見える。
逆に外は全く見えないけど、これもこれでアリだと思う。

この席からはもちろん俺の席も、その隣の女子の席も見える。
同じ横列だしな。
だからつまり…休憩時間は唯のことも見れる。
唯は俺の隣の席の子と喋るみたいだから。
昨日、結構仲良くなったみたいだし。
多分これからも来るかな?
まぁそれは俺の勘だけど、幼馴染みだから何となく唯と合う性格の子はわかる。

しかも二人とも声でかいから、会話の内容丸聞こえなんだよな。
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