君は囁く~涙とともに~

「何それ、
逆に超気になってきたんだけど!」

怒られるかと思ったらむしろ目の輝きが増してるみたいだった。
少し安心。
でも、気になられたら困る。

どうしようか迷っていた俺の耳にもう一声。
背後から聞こえてきた。

「何て告白したの!?」

隣の席の子の声。
見なくても分かる。
間違いなく、唯への問いかけ。

今の台詞を聞いたんだろう。
四人が耳を傾けていた。
四人の目は真剣そのもの。
こんなことに何でこんなに必死になるんだ、こいつらは…。
多少ばかり、呆れてしまった。

そんな中、唯の照れたような笑い声が聞こえた。
そして俺自身も唯の次の言葉を聞こうとする。

「恥ずかしすぎてあんまり覚えてないなぁ。
凄く緊張したんだもん。
台詞考えてたんだけど、それ通りに言えなかったんだよねえ。
でも確か…『ずっと前から好き』みたいなこと言ったような?」

唯…。
やっぱり緊張してたんだよな。
耳まで赤かったもんな。
台詞考えてたんだ。
こんな唯の努力、俺は否定してしまったようなものだな…。
罪悪感が半端じゃない。

…って!今の問題はそこじゃない!
急いで四人の顔を見る。
そこには予想通り、にやついた顔で俺を見てくる四人がいた。

「へぇ?そんなこと言われたんだ!」

「すげえ緊張したんだとよ」

「台詞まで考えてたのになぁ」

口々にそう言っては自分達で相槌をうっている。
何だか腹が立つような言い方じゃないか。
俺が悪者みたいな…まぁ、悪いんだけどな。
俺の気持ちも分かってくれよ。
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