君は囁く~涙とともに~
「何だよ…話って」
俺はちらっと唯を見て、すぐ目をそらす。
こんなに照れた唯の表情を見るのは初めてで、
見ているこっちが恥ずかしくなる…
そういう気持ちになったから。
唯は、「ちょっと来て」と聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で手招きした。
そんな唯に連れられて来たのは、
近くの家の陰。
ここまで来たなら俺の家の玄関の前でも良かったんじゃないか…?
そうとまで思った。
この場所は知っている。
小さい頃、二人で秘密基地とか言って遊んでいた所。
今はあの頃に比べて体も大きくなったから、ここで遊ぶというのは無理がある。
でもまぁ、話すくらいなら出来るだろう。
そんな場所だった。