君は囁く~涙とともに~

「……悪かったな」

そう言いながらも結局謝ってしまう俺。
何で謝ってんだろ。

「何で俺らに謝ってんだよ」

大翔のその言葉に、他の三人も頷いている。
まぁ、そうだよな。
でも唯に謝るって…逆に何でだよ。
唯に告白されて、俺はフって、でも今、唯は諦めないって言ってる。
……何で謝る?

ってあれ?
告白された時は謝ったよな?
謝らなかったっけ?
……や、謝った。
まぁその時に謝るのは分かるよな。
でも今謝る理由がイマイチよく分からない。
…ま、いいか。

キーンコーンカーンコーン

「あっ、やべぇ!
席戻んないと!」

龍のセリフに俺も反応し、一緒に走り出す。
チャイムが鳴り終わるまでに席に着かないといけないからな。

でもなかなかいいタイミングで鳴ったよな。

そこまで大翔の席から俺の席まで距離はないから、予想以上に早く席につけた。
俺が座った直後にチャイムは鳴り終わり、席についてなかった生徒を先生がメモしていた。
危なかった。
今まで遅刻ついたことなんかないし…ついたりなんかしたら親が怖いし。

そんなことを考えていたらいつの間にか授業は始まろうとしていた。
号令を済ませたら授業が始まる。

今からは社会の授業。
社会なんか興味ないんだけど…。
ふと見渡すと、大翔と龍は既に寝る体勢に入ってるし。
この先生も気の毒だな。
そう思いつつ、その時間はダラダラと板書をノートに写していた。
< 20 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop