君は囁く~涙とともに~

「…もう光ちゃんなんか知らないっ!」

…そっちの方が有り難い。
それより…あの子は?

あの子っていうのは、俺が今気になってる子。
窓側の一番前の席。
大木莉歩さん。
ちらっと見ると黙々とお弁当を食べている。
ピンク色のちっさい弁当箱。
あんなので足りんのかな。
まぁ、全く食べない唯よりはましだけど…。

って唯のことはどうでもいいだろ…!
肝心なのは、さっきの話、大木さんが聞いていたかどうか…。
…まぁ、見た感じ、
聞いたけどそこまで興味ない
そういった所だろう。
それはそれで…ショックだな。
実際はどうなのか分からないけど、聞いてないことを願うだけ。

「莉歩ちゃん!
今の話、聞いた?」

そう言って大木さんの方に近づく子達。
クラスではあまり目立たないであろう子達。
大木さんは誰とでも仲がいいみたいで、
しかも容姿がとてつもなくいい。
艶やかな長い黒髪。
前髪も長くて、右側はいつも耳にかけている。
そこから覗く大き過ぎず小さ過ぎない、俺好みの目。
鼻も高くて、本当に美人。

実は、小学校の時にあった、他校との合同合宿で見て、そこからずっと覚えていた。
中学校に入り、今こうして同じクラスになれた。
好きにならない訳がない。
まぁ、気になっている程度だけどな。
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