君は囁く~涙とともに~

「聞いたよ
谷口君と、吾妻さんの話でしょ?」

その落ち着いた口調もいい…って!
聞いたのか!?
…まぁ、そうだよな。
でも、俺の名前を先に挙げてくれたのが嬉しい。
俺の名前覚えててくれたんだ…ってのもあるし。
こんな小さいことで嬉しくなるとか、単純だな、俺も。

「凄いよねぇ、吾妻さん。
あんな堂々と言えるなんて」

集まって来た子の中でもまだ一番地味じゃないかなって感じの子…佐々木麻美奈が言った。
…本当すげぇよな、俺も考えられないわ、その神経。

「それ程谷口君のこと好きなんじゃない?
素敵よ」

…大木さんにその台詞言われても…複雑でしかない。
でも素敵だとよ、唯。
良かったじゃないか、褒められて。

「私にも…そんな人いないかな、なんて」

笑いながら大木さんが言う。

「莉歩ちゃん美人なんだから!
狙ってる人絶対いっぱいいるよぉ!」

「いっぱいはいらないかなぁ…
一人でいいの
そもそも、いるかどうかも分からないけどね」
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