君は囁く~涙とともに~

俺がいるよ。
そう言いたいけど…そんな勇気はない。
なんか、唯がどれ程勇気出してくれたのかしみじみと分かる。

「おい、光輝、どこ見てんだよ」

その言葉にはっと我に返った。

「わ、 悪い」

いつの間にか残りの三人も集まってきていた。

「お前、どこ見てた?」

そう言いながらきょろきょろする双真。
それにつられてみんな辺りを見渡す。

「別に…何でもいいだろ」

「もしかして、大木さん?」

武斗がさらっとそう言う。
その言葉にみんな「え?」と言いつつ武斗を見た。
正直図星の俺は何も言えない。

「いや、だって視線の先って大体あそこらへんだったし、
大木さん美人じゃん?
だから見とれてたのかなぁみたいな
当たり?」

…返事が出来ない。
何て返せばいいか分からない。

「当たりだな」

にやっと勝ち誇ったような笑みを浮かべる武斗。

「もしかして、大木さんのこと好きとか?」

この中で一番にやけていた龍が俺をじっと見つめながら言った。

ドキッとした。
返す言葉が見つからない。
ただひたすら顔が熱くなる。

「お前顔赤ぇぞ!
図星か!おい!」

龍の台詞にみんな俺をガン見。
龍なんかは俺の腕掴んで揺さぶってくる。

「何で言わなかったんだよ!」

「や…お前らだって言わねぇだろ!」

俺がそう言うと、みんな「まぁなー」とか笑いながら言った。
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