僕とあの子の通学電車
それが原因で、舞香にはあまり告白する男子はいなかった。
因みに俺は…舞香に告られたので。
男子の舞香なら、痴漢やナンパなどへっちゃらだ。
だから俺は余計な心配をしなくてすんでいる…。
「舞香に会いたい?」
不意にはっせーがきいてくる。
そんなの…会いたいに決まったいる。
俺はコクンと頷いた。
はっせーはそんな俺をみてクスッと笑い、そして
「俺も」
「は?」
「いま、俺もすごい舞香に会いたい。」
そういって、王子スマイルを繰り出してきた。
「はっせー、お前な…」
「怒るなよ、そういう意味じゃないって。」
「じゃあどういう意味?」
「ただ単に、話したいってだけ。」
「ホント?」
「ホントだっつの。」
はっせーはケラケラ笑う。
「そんなに俺が怖いか?」
「当たり前じゃん。」
「どうする?高校にイケメンがいて、そいつと仲良くしてたら。」
「あいつがイケメンになびくわけがない。」
「……それはどうかな…?」
はっせーが苦笑いする。
一応言うが、自分で言うのも屈辱的だが、舞香は可愛い男の子が好きだ。
当然だがその中に俺が含まれている。
「お、俺ここで降りるから。」
自分の下車駅につき、俺は荷物を持ちなおした。
この駅は降りる人が多い。
「じゃーな!はっせー!」
そう言いながら、俺は人の波に押された。
だから、はっせーが、
「大山は、俺には勝てねーよ」
なんて言ってたことに、気がつかなかった。