一秒の確信
あたしが廊下でボンヤリしながら涙していると、村田が近付いてきた。
村田は塚本とあたしと3人で良く遊ぶ女友達の一人。
小学校からの友達だ。

村田「唯、あんた泣いてんの?」

唯「泣いてなんかないよ。」

村田「嘘。泣いてんじゃん。あんたの事だからすぐ解る。」

村田はあたしの隣に座ってコメカミ部分をデコピンした。

唯「痛いって(笑)」

村田「あたしに何も相談しないからじゃん?唯って話すけど話さないよねー。」

唯「何其れ?意味解んないんですけど。村田だって全然喋らないじゃん。」

村田「友達でしょ?…どうしたの?」

あたしはちょっと潤んだ。
村田に話すのも、怖かった。
だって塚本は…
誰にも解って貰えないんだ。

唯「…あたし、ついに変になったのかも。」

村田は笑って、見透かした。

村田「あー、もしかして塚本ぉ?」

唯「なんでー?わかるー?」

村田「ミエミエだよ(笑)いつもじゃん?塚本にチョッカイかけられてる時、唯顔赤いよ?(笑)」

唯「えっ?やだー!言ってよ村田ー!」

村田「素直でよろしい(笑)でもねー。塚本人気だけどさぁ。あたしも塚本が男だったらカッコイイと思うよ?けどさぁー、なんで寄りによって塚本…。…で?どうしたいの?付き合いたいの?…まぁね、カッコイイもんねー、塚本。ってか塚本に好きな人居るの知ってた?言っちゃダメだよ?いや、多分塚本自身、あのキャラだから恥ずかしいんだと思うんだ。駄目って言うか、塚本の顔立て。」

唯「…は?誰!?塚本が好きな人ってどんな人?」

…あたしは知ってた。
塚本の視線を辿っていたから。
いつもその人を見る塚本は、とっても綺麗だったから。
塚本が見る世界を愛して見たかったんだ。

村田「…その顔は…うん。唯も知ってんだ?まぁ解るよね。将だよ。」

唯「…うん。将を見る塚本って、可愛い。」

あたしは村田に話す。

唯「じゃあ…これは知ってる?」

村田「へ?何?何?」

唯「…あたしね…将に告られたんだ。」

村田は驚いてあたしの両手首を捕まえた。
ビックリして、言葉を失ってた。

村田「それ…塚本知ってるの?」

唯「勿論知らない。あたし、塚本を傷付けたくないから。」

村田「だよね…複雑だね。でも、多分それ知ったら塚本、だいぶ傷付くからやっぱ塚本には知らせない方が良いよね?」

塚本を傷付けたくない?
…嘘に決まってるじゃん。

だって、将を塚本に向かせないように
あたしは【将を好きになろうとした】もの。

塚本が好きな人を好きになるの。
将を見る塚本と同じ目線に立てば…

どんな形でも、塚本と居られる気がしたからなんだよ。

あれもこれもどれも塚本を庇う為なんだよ。
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