一秒の確信
麻子から手紙が届いた。
でもそれは、ブ厚い何かだった。
普通のレターセットより、何か違う封筒の様なもの。
開けてみるとテレフォンカードの山だった。

麻子に電話をした。
自宅電話の子機から。

麻子「あー、届いたんだ?何か沢山持っていたから、あたしに電話する時はソレを使うように。いい?今も家の電話からでしょ?この間、聞こえたの。楓君のママの声。怒っていたよね?電話代幾らすると思ってんのって。あたしには、こんな事しか出来ないけど、家の近くにあるのならソレを使って電話して。あたしも楓君を連絡取れなくなったら寂しいし。」

僕は嬉しかったけど、疑問に思った。

麻子からじゃあ、何故電話してくれないんだろう?
こんなに沢山のテレフォンカードがあったら売ってお金にする事さえ出来る。
なのに、何故…?

麻子の言う通り、出来るだけ公衆電話から電話した。
幸い、家のすぐ側に公衆電話があったから、ダイヤルを回す。

あれから麻子とは、この間みたいな会話が増えた。
麻子の最初を思い出した。
けれど、今は今の麻子なんだと思って僕は不安との葛藤の中、連絡を取り合う。

時には苛立って電話を一方的に切る麻子。
それから御免ねと謝る麻子。
いつも締め括りはこの言葉になっていた。


「全部あたしが悪いの。楓君は私にとって必要なの。だから、こんな風になったあたしを叱って。」


もう、会える日迄のカウントダウンだった。
久し振りに、ほったらかしていた友人と遊んだりした僕が居た。

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