一秒の確信
昼と夜の逆転生活の中、札幌駅前東口。
夜も眠れず、柱に立っていた僕が居た。
昼間の12時。
人混みの改札口から出て来る彼女を、背伸びしながら探した。
天気予報は雨。
傘は持ってなかった。
「あたしね、雨女なの(笑)」
彼女と以前に電話で話していた、この言葉を思い出してフッと笑ってしまった。
その時、柱の背後から大きな何かに肩を掴まれて、驚く様にソレを見上げると、麻子が笑った。
麻子「よっ!」
楓「…よっ!」
僕達は、何度も会っているかの様に麻子が僕の手を取り、歩き始めた。
麻子は傘を片手に持って、鞄を肩から掛けていた。
麻子「チェックの服可愛いよ。上も、天使の羽だね。それ、どうしたの?」
楓「あーこれは…。」
一度息詰まった。
けど麻子の事だから、やっぱり聞く。
麻子「どーしたの?服!」
楓「なんか、貰ったんだよね、僕にプレゼントだって。」
麻子「楓君、モテるもんね。ねぇ、何したい?」
楓「歌いたい!」
麻子「あたし、歌超オンチだよ?(笑)あんまりリモコン触らなくていい?でも楓君の歌聞きたいから行こっか。」
楓「ありがと!」
麻子「札幌解んないから、任せるね。…それにしても凄い身長差だね(笑)見上げて話す楓君の顔、良く見えるよあたしから(笑)子供みたいで可愛い、はしゃいでるの楓君♪」
僕はテレたけど、嬉しかった。
駅から表へ出ると、外はざんざん雨が降っていた。
それに気付いた彼女がサッと傘を差した。
カラオケに到着して、なんだかんだで麻子も歌ってくれた。
麻子が以前教えてくれた歌も歌ってくれた。
それは自身の、楓君に対しての曲に近いと言っていた。
麻子は真剣に熱唱する僕も画面からも、目を逸らす事は無く、麻子も真剣な表情だった。
麻子は僕に「凄いうまいね、ホントにビックリした。」
と言って、僕が歌った曲まで自分の手帳にその曲を書いていた。
僕は家庭内事情から、家は二つあった。
僕が住んでるのは片方の家だけだったけど、親には告げてあった。
「友達が遠くから泊まりに来るから、片方の家に泊まって。」
と。
僕達は、歩き回ってプリクラなんか撮っちゃったりなんかした。
緊張してお腹が空かなかった僕の口に、麻子はパンを突っ込んだ。
「食べなさい。」
色々と徘徊した。
洋服も見に行った。
気付いたらもう夜だった。
ようやく家に着いた。
麻子は座りながら、僕の部屋の物を詮索し始めた。
それは良かったんだけど、一つだけ、恥ずかしいものがあった。
思春期の僕の部屋に、接吻ばかりしてる様な、特集みたいな雑誌があった。
麻子が手に取ろうとした瞬間、僕はその手を捕まえた。
楓「ちょっと!それはちょっと!!」
麻子「いいじゃん、見せてよ(笑)」
やめろと言う前に開き始めたから僕は焦る様にして彼女の隣に座って一緒に見た。
麻子は普通の顔でページをめくりながら僕の方を見た。
僕は恥ずかしく、答えた。
楓「な…なに…。」
すると彼女はその雑誌の中でも激しいキスをしているページを指さして言った。
麻子「楓君…。以前、電話でも言ったね?楓君は、こうゆうキスは、した事あるの?」
僕の顔を覗き込む様にして、問いかける。
僕は『ある』と答えたが、すぐにその発言を撤回した。
楓「いや…ここまでのは…。」
すると麻子は企み笑いと様な妖艶な目つきで僕の髪から、二本の指先で首までなぞる様にして…
口唇が僕にゆっくり近付いて来る。
一瞬、僕の口唇に触れた。
脈拍数は狂ったみたいに外にまで聞こえてしまいそうだと焦った。
僕の掌が汗ばんだのをバレたのか、麻子は片方の手で僕の小さな手を握った。
焦りと同時に怖かった。
なんて僕は臆病なんだろう。
麻子の手を振り払って下を向いた。
彼女はニヤけて、僕の顔を再度覗き込む。
麻子「ん…?楓君?」
僕は涙を溢していた。
楓「…濡れちゃうよ、服。」
麻子「いいの。…こわい?…」
僕は頷いた。
「楓君、ホンッと可愛いね。電話で言ってた楓君。狂おしい程愛されたいって。カラダも、ココロも。痛いね…。」
麻子は僕の両頬を指先でなぞる。
そして接吻をした。
止まらない涙も、拭いながら僕を誘い込んでは何度も何度も口唇に触れるか触れないかを繰り返して。
僕は瞳を綴じた。
溢れる涙は止まらなかった。
麻子「ずっと、あたしと会いたかった…?」
楓「…うん。」
麻子「あたしが居なくて不安だった…?」
楓「…うん。」
さっきの雑誌を持ってきて、さっきのページを開いて指さして見せる彼女。
麻子「…してあげる。」
楓「…ヤバイ…ドクドクする。」
麻子「…楓君、あたしもだからね。もう、やばい。楓君、かわいすぎ。」
優しく僕を呑み込んでいくみたいに、接吻を再開する。
麻子「楓君…かわいいよ、かわいい…。」
楓「苦しい…。」
麻子「大丈夫。あたしはあなたを絶対離したりしないからね。」
何度も何度も『普通じゃないキス』をする。
楓「ね…その顔かわいい。」
瞳を綴じていたのは僕だけだった。
開けるとまた綴じてって麻子は言う。
麻子「ん…楓君、美味しい…」
楓「食べ物じゃないんだから…んっ…」
麻子「今度はあたしに舌を入れて…。」
楓「…どうやるの…?」
麻子「あたしがしたみたいにだよ。」
楓「んっ…」
二人の呼吸が乱れて、荒げた息が部屋に響いていた。
僕はずっと泣いていた。
いつか居なくなってしまう事、恐れた。
麻子「愛おしい楓君…美味しい…もっと頂戴。」
ベットに行って僕の上に跨った麻子がよく見えた。
すると麻子が奇怪な行動を始めた。
「あなたはとてもかわいいから罪。忘れないで。『あたしも』初めてなの。淫乱な女だと思わないで。楓君の全部、美味しいの。」
そう言いながら、麻子は髪の毛一本一本優しく撫でてくれた。
淫乱と言う言葉は僕には通じなかった。
綴じた瞳に接吻を
鼻も、耳も、口唇も全部全部、もう麻子に支配される心を隠せず。
麻子は涙に濡れた僕に、瞳を開けて、と言い、そして
僕の涙に濡れた眼球に舌を這わせた。
麻子「痛い…?」
楓「気持ちいい…。」
麻子「涙もね、全部あたしが拭ってあげる。かわいいかわいいあたしの楓君、美味しい…。」
初めての眼球のちょっぴり痛さ。
でも心が癒えていく感覚になった。
麻子は身体の上から下まで触れていった。
楓「駄目だよ、汚い。」
麻子「ううん。楓君は、甘いの。美味しいの。」
それから僕は彼女に、もう止められない指先を覚えて
麻子を、大切に、大切に、愛撫する。
ぎこちない僕の手先に、麻子はそれでも笑った。
「かわいい、楓君。」
目覚めると、昼だった。
隣を見ると、麻子がニヤニヤして言った。
「おはよう、楓君。」
総て、見られてたんだ。
寝顔も、起きる瞬間までも。
夜も眠れず、柱に立っていた僕が居た。
昼間の12時。
人混みの改札口から出て来る彼女を、背伸びしながら探した。
天気予報は雨。
傘は持ってなかった。
「あたしね、雨女なの(笑)」
彼女と以前に電話で話していた、この言葉を思い出してフッと笑ってしまった。
その時、柱の背後から大きな何かに肩を掴まれて、驚く様にソレを見上げると、麻子が笑った。
麻子「よっ!」
楓「…よっ!」
僕達は、何度も会っているかの様に麻子が僕の手を取り、歩き始めた。
麻子は傘を片手に持って、鞄を肩から掛けていた。
麻子「チェックの服可愛いよ。上も、天使の羽だね。それ、どうしたの?」
楓「あーこれは…。」
一度息詰まった。
けど麻子の事だから、やっぱり聞く。
麻子「どーしたの?服!」
楓「なんか、貰ったんだよね、僕にプレゼントだって。」
麻子「楓君、モテるもんね。ねぇ、何したい?」
楓「歌いたい!」
麻子「あたし、歌超オンチだよ?(笑)あんまりリモコン触らなくていい?でも楓君の歌聞きたいから行こっか。」
楓「ありがと!」
麻子「札幌解んないから、任せるね。…それにしても凄い身長差だね(笑)見上げて話す楓君の顔、良く見えるよあたしから(笑)子供みたいで可愛い、はしゃいでるの楓君♪」
僕はテレたけど、嬉しかった。
駅から表へ出ると、外はざんざん雨が降っていた。
それに気付いた彼女がサッと傘を差した。
カラオケに到着して、なんだかんだで麻子も歌ってくれた。
麻子が以前教えてくれた歌も歌ってくれた。
それは自身の、楓君に対しての曲に近いと言っていた。
麻子は真剣に熱唱する僕も画面からも、目を逸らす事は無く、麻子も真剣な表情だった。
麻子は僕に「凄いうまいね、ホントにビックリした。」
と言って、僕が歌った曲まで自分の手帳にその曲を書いていた。
僕は家庭内事情から、家は二つあった。
僕が住んでるのは片方の家だけだったけど、親には告げてあった。
「友達が遠くから泊まりに来るから、片方の家に泊まって。」
と。
僕達は、歩き回ってプリクラなんか撮っちゃったりなんかした。
緊張してお腹が空かなかった僕の口に、麻子はパンを突っ込んだ。
「食べなさい。」
色々と徘徊した。
洋服も見に行った。
気付いたらもう夜だった。
ようやく家に着いた。
麻子は座りながら、僕の部屋の物を詮索し始めた。
それは良かったんだけど、一つだけ、恥ずかしいものがあった。
思春期の僕の部屋に、接吻ばかりしてる様な、特集みたいな雑誌があった。
麻子が手に取ろうとした瞬間、僕はその手を捕まえた。
楓「ちょっと!それはちょっと!!」
麻子「いいじゃん、見せてよ(笑)」
やめろと言う前に開き始めたから僕は焦る様にして彼女の隣に座って一緒に見た。
麻子は普通の顔でページをめくりながら僕の方を見た。
僕は恥ずかしく、答えた。
楓「な…なに…。」
すると彼女はその雑誌の中でも激しいキスをしているページを指さして言った。
麻子「楓君…。以前、電話でも言ったね?楓君は、こうゆうキスは、した事あるの?」
僕の顔を覗き込む様にして、問いかける。
僕は『ある』と答えたが、すぐにその発言を撤回した。
楓「いや…ここまでのは…。」
すると麻子は企み笑いと様な妖艶な目つきで僕の髪から、二本の指先で首までなぞる様にして…
口唇が僕にゆっくり近付いて来る。
一瞬、僕の口唇に触れた。
脈拍数は狂ったみたいに外にまで聞こえてしまいそうだと焦った。
僕の掌が汗ばんだのをバレたのか、麻子は片方の手で僕の小さな手を握った。
焦りと同時に怖かった。
なんて僕は臆病なんだろう。
麻子の手を振り払って下を向いた。
彼女はニヤけて、僕の顔を再度覗き込む。
麻子「ん…?楓君?」
僕は涙を溢していた。
楓「…濡れちゃうよ、服。」
麻子「いいの。…こわい?…」
僕は頷いた。
「楓君、ホンッと可愛いね。電話で言ってた楓君。狂おしい程愛されたいって。カラダも、ココロも。痛いね…。」
麻子は僕の両頬を指先でなぞる。
そして接吻をした。
止まらない涙も、拭いながら僕を誘い込んでは何度も何度も口唇に触れるか触れないかを繰り返して。
僕は瞳を綴じた。
溢れる涙は止まらなかった。
麻子「ずっと、あたしと会いたかった…?」
楓「…うん。」
麻子「あたしが居なくて不安だった…?」
楓「…うん。」
さっきの雑誌を持ってきて、さっきのページを開いて指さして見せる彼女。
麻子「…してあげる。」
楓「…ヤバイ…ドクドクする。」
麻子「…楓君、あたしもだからね。もう、やばい。楓君、かわいすぎ。」
優しく僕を呑み込んでいくみたいに、接吻を再開する。
麻子「楓君…かわいいよ、かわいい…。」
楓「苦しい…。」
麻子「大丈夫。あたしはあなたを絶対離したりしないからね。」
何度も何度も『普通じゃないキス』をする。
楓「ね…その顔かわいい。」
瞳を綴じていたのは僕だけだった。
開けるとまた綴じてって麻子は言う。
麻子「ん…楓君、美味しい…」
楓「食べ物じゃないんだから…んっ…」
麻子「今度はあたしに舌を入れて…。」
楓「…どうやるの…?」
麻子「あたしがしたみたいにだよ。」
楓「んっ…」
二人の呼吸が乱れて、荒げた息が部屋に響いていた。
僕はずっと泣いていた。
いつか居なくなってしまう事、恐れた。
麻子「愛おしい楓君…美味しい…もっと頂戴。」
ベットに行って僕の上に跨った麻子がよく見えた。
すると麻子が奇怪な行動を始めた。
「あなたはとてもかわいいから罪。忘れないで。『あたしも』初めてなの。淫乱な女だと思わないで。楓君の全部、美味しいの。」
そう言いながら、麻子は髪の毛一本一本優しく撫でてくれた。
淫乱と言う言葉は僕には通じなかった。
綴じた瞳に接吻を
鼻も、耳も、口唇も全部全部、もう麻子に支配される心を隠せず。
麻子は涙に濡れた僕に、瞳を開けて、と言い、そして
僕の涙に濡れた眼球に舌を這わせた。
麻子「痛い…?」
楓「気持ちいい…。」
麻子「涙もね、全部あたしが拭ってあげる。かわいいかわいいあたしの楓君、美味しい…。」
初めての眼球のちょっぴり痛さ。
でも心が癒えていく感覚になった。
麻子は身体の上から下まで触れていった。
楓「駄目だよ、汚い。」
麻子「ううん。楓君は、甘いの。美味しいの。」
それから僕は彼女に、もう止められない指先を覚えて
麻子を、大切に、大切に、愛撫する。
ぎこちない僕の手先に、麻子はそれでも笑った。
「かわいい、楓君。」
目覚めると、昼だった。
隣を見ると、麻子がニヤニヤして言った。
「おはよう、楓君。」
総て、見られてたんだ。
寝顔も、起きる瞬間までも。