続:first love~世界で一番素敵な初恋~


「よく分からないけどそれじゃ駄目だと思う。」


その言葉に裕美は何かを納得したみたいだった。


『そうだった。
そういえば唯那は楽な方に逃げようとすることが出来ない人間だったね。』


「え?」


『唯那はさ、楽な道と辛い道があったら絶対に辛い道を選ぶじゃん。
楽な道を選んでたらいつまで経っても成長しないって。』


「……うん。」


何となく思い出した自分の性格。


『唯那が考えてること、何となく分かった。
西園寺さんはアメリカに行って留学して、卒業して会社の後を継いだら想像も出来ないくらい立派な後継者になる。
でも、ただアメリカに着いていっただけの唯那は成長するどころか西園寺さんにどんどん置いていかれる。
唯那はそれが嫌なんでしょ?』


多分、これが西園寺の返事に戸惑った理由。


「西園寺のプレッシャーは多分、私が想像出来ないくらいものなんだと思う。
でも、今の私じゃそんな彼の辛さは分かってあげられないし、支えられない。
一番支えないと駄目な時に傍に居ることしか出来ない奥さんにはなりたくない。」


< 11 / 117 >

この作品をシェア

pagetop