続:first love~世界で一番素敵な初恋~


相手は力強いサーブを打ってきたが、私は難なく打ち返しリターンエースを決める。


その光景に誰もが息を呑む。


「嘘だろ…あいつ、いとも簡単にサーブを打ち返しやがった。」


彼のサーブはテニス部の中でも打ち返せる人は限られていて私が打ち返せるなんて誰一人想像もしていなかった。


「さぁ、早く次を打ってくださいよ。先輩。」


「マグレで一回打ち返せたからっていい気になるなよ!」


「今のがマグレかなんてすぐに分かります。
勝負を続けましょう。」


「くそ…舐めやがって!」


次のサーブは力んでしまったのか、最初のサーブに比べると甘い。

さっきよりも簡単に打ち返すことが出来た。


それから勝負が決まるまで時間は掛からなかった。


部長は焦りが増してどんどんプレーが雑になっていく。


私は迷いがある部長の球を自信を持って打ち込む。


気付けば結果は私のストレート勝ち。


それがマグレじゃないことはプレーを見ていた全員が思い知った。


「何だよこれ…3年相手にストレート勝ち?」


「しかも、相手に1ポイントも与えてねぇ。」


いくらまぐれでも自分よりも強い相手に対してストレート勝ちが出来ないのは部員全員が分かっていることだった。


「さぁ、次の相手は誰?」


腹が立つと我を忘れて実力以上の力を出す。
というのはこの頃からで、気付けばレギュラー2人を残して相手に1ポイントも与えないままストレート勝ちをしていた。


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