性悪な彼のオモチャ
コトンコトン....
ゆっくり近づく足音、あいつに間違いない。
「おはよう、未恋ちゃん。父さん」
こちらもまけずと、必殺王子スマイル。かっこいい…朝からかっこよすぎますよこの親子。どうやったらこんなにかっこいいんですか?
性悪と来たら、きっと起きたてのはずなのに、寝癖1つついてない。まさに完璧な王子の気品が漂っております。
今は―…
でも、こちらは影で何を思ってるか…このかっこよさで性悪な性格でなければ、完璧なのに。
「おはよう彼方。」
『あ、おはようございます。』
王子の、"未恋ちゃん"って呼ぶところがなれない。
「あ、お弁当までありがとう」
目の前にあるお弁当を見て彼方は笑顔で言った。
キュン…って、いい加減。性悪ってことを覚えてよ、あたしの心臓