性悪な彼のオモチャ




『こ、この性悪王子…あっ』



あたしは王子という言葉を間違って出してしまったことに後悔した。
ううん、後悔どころじゃない後悔をした。





「は、俺が王子?お前バカだな。
王子なんてもんは、おとぎ話の中だけで、実際性格が良くて、顔もカッコイイ王子なんているわけねーだろうが。非現実的女。」




ガシャ―…ン



何かが、あたしの中で壊れかけた音がした。



こ、こいつのせいであたしの16年分の夢に罅(ひび)が入ってしまったようなそんな気がした。



あたしの、あたしの夢を馬鹿にしないで、ドキドキを返して!




『そんなのわかんないじゃない。王子様はいるんだから絶対に。
あたしを迎えに来てくれるの!』



「お前…重症だな。病院行け、ちょっと異常だ。」



異常―…?


もうダメ。さっきは完璧なほど優しかった王子様も、今じゃ腹黒性悪な性格に変化してしまった。



どうか願いが叶うなら、今の出来事の記憶をなくして欲しい。







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