彼方の蒼
心底面倒くさそうに、それでも放棄しないで僕の相手になろうとするカンちゃん。
違うよ、と僕はそれを遮った。
「違うよ。わかってるよ。幻滅したとかじゃなくて、意表を突かれたというか、意外というか。思いがけない感じなんだよ。気が小さくてびくびくしてピアノ弾いてなきゃ弱っちいだけだと思い込んでいた。人前で言わないだけで、内側にいろんな想いを抱えてそうだなあ」
そういう人の話を最近どこかで耳にした覚えがある。
覚え……そうだ、覚えておけと言われたんだ。石黒に。
倉井先生もまた、言わないだけで秘めているものがあるんだった。
カンちゃんはあっさり頷いてみせた。
「たいていのヤツはそうだよ。ハルみてーに思ってるまんまをいっつも言うほうがまれなんだよ。角立ちまくり。フォローする人は大変」
大変、のところを、た〜いへ〜んと妙な抑揚をつけるものだから、ちっとも大変そうに聞こえないのだった。
違うよ、と僕はそれを遮った。
「違うよ。わかってるよ。幻滅したとかじゃなくて、意表を突かれたというか、意外というか。思いがけない感じなんだよ。気が小さくてびくびくしてピアノ弾いてなきゃ弱っちいだけだと思い込んでいた。人前で言わないだけで、内側にいろんな想いを抱えてそうだなあ」
そういう人の話を最近どこかで耳にした覚えがある。
覚え……そうだ、覚えておけと言われたんだ。石黒に。
倉井先生もまた、言わないだけで秘めているものがあるんだった。
カンちゃんはあっさり頷いてみせた。
「たいていのヤツはそうだよ。ハルみてーに思ってるまんまをいっつも言うほうがまれなんだよ。角立ちまくり。フォローする人は大変」
大変、のところを、た〜いへ〜んと妙な抑揚をつけるものだから、ちっとも大変そうに聞こえないのだった。